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熊本ここだけの話

勉強とは・・・・

2009/07/08 12:00

 先日、熊本県立高森高等学校で「高校時代の勉強とは何でしょうね」というタイトルの講演会がありました。講師は元ヤクルト本社専務取締役の平野博勝氏です。この講演会は首都圏在住の熊本県出身者が熊本県内の小学校、中学校、高等学校で出前授業を行うというもので、平成19年度にスタートしました。年に十回程度開催されており、平野さんは毎年講師を務めてくださっています。 (前前回) (前回)

 
 
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 演題は、「高校時代の勉強とは何でしょうね」と問いかける言葉ですが、平野さんは、勉強とは大学受験のためにするものではなく、自らの視点を増やして、視野を広げるためにするものだと教えてくださいました。そしてそれは、自分の可能性を広げることだと。

 高校時代まではどんどん自分の可能性を広げていく時期で、その後は生き方を絞り込んでいく時期だから、今この時期に視点を増やし視野を広げることが大切だ、とのことです。そのような大切な時期に平野さんのお話を聞く事ができた高森高校の生徒の方々は幸運です。

 平野さんご自身も、若い頃からたくさんの本を読むなかで、「小説に出てくるような素晴らしい女性に出会いたい!」と思って東京の早稲田大学へ進学されたそうです。視点を増やし、視野を広げる中で、自分の願望や欲求に素直にしたがうこと。そして、欲求が満たされたときの感動・感激をいつまでも持ち続けること、それが充足感を味わえるような人生を送るために大事な事だと語ってくださいました。

 

 平野さんはいつも「言葉を知る事がとても大事」だと教えてくださいます。社会の仕組みはコミュニケーションを通じて成り立っています。コミュニケーションとは言葉を介する“情報のやりとり”であり、コミュニケーションのためには「話し言葉」「聞き言葉」「読み言葉」「書き言葉」「叩き言葉」の5つの言葉が必要です。そして、情報のやり取りの場が“コミュニティー”と呼ばれるものだそうです。人は誕生して数ヶ月は母親と二人だけの世界に生きています。そこに、父親という存在が入り、兄弟姉妹が加わり、保育園の先生や友達、近所の人々、学校、職場、といった具合に自分を取り巻く社会が拡大していきます。そのたびにコミュニティーの幅が広がり言葉の幅が広がります。そして、言葉を介する“情報のやり取り”の中で人の精神や心は成長していく!と教えてくださいました。


 人は考えますが、考えは言葉で成されます。人は感じますが、感じた事は言葉で表現されます。私達は言葉がなければ、考える事も理解する事も表現する事もできません。そして、言葉は様々な分野の言葉があります。世界まで広がれば、世界の人々と話すために、外国語能力も必要となります(平野さんも “熊本弁混じりの英語”で世界中の人々とコミュニケーションをとってきたそうです!)。

 また、数学や物理など専門分野について考え、理解し、表現するためには専門の言葉である数式や方程式や法則を知ることが必要です。勉強してそういった言葉を知る事がコミュニケーション能力を高めることとなり、それが自分の可能性を広げていく事になると語ってくださいました。

 

  最近の世の中は、アメリカ型ビジネスモデルが崩壊し、経済縮小、非正規職員解雇が進む中で、どういう職業を選び、どのように大学へ進学していくか、将来への不安を持つ若者も多くなっています。そんな中で、企業が求めている人材は「サラリーマンを目指す人」ではない、とのことです。サラリーの語源はラテン語の「sal(塩)」であり、「ソルジャー(兵士)」、「スレイブ(奴隷)」と語源が同じだそうです。このような変革の時はただ上司の言う事を聞くだけのサラリーマンではなく仕事を作り上げていくビジネスマンが求められている、ビジネスマンとは自分の言葉で考え判断し行動し評価する人だ、と教えてくださいました。そんな人になるためにも、言葉の幅を広げるために勉強し、大学生や社会人になったら、自分が何をやりたいのか目的を絞り込み、問題意識や目的意識を明確にすることが大事だと教えてくださいました。そして、問題意識を持つ事で重要な情報も見逃さなくなるとお話しくださいました。

  

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 そんな平野さんの生き方のベースにあるのは、実は、真の意味での“フリーター”という精神です。平野さんは、大学卒業後8年間、土方やボーイや運転手、ペンキ職人など様々な職業を経験され、ご自身曰わく“今でいうフリーターの草分け”だったそうです。そこで、土方語、ボーイ語、運転手語、ペンキ屋用語など多くの言葉を身につけられたそうです。そんな経験のベースには、サラリーマン語しか理解できない自分にはなりたくないという思いがあったそうです。その後、“組織を体験するために”ヤクルトに入社され、多くの海外勤務を経験しながら専務取締役まで務められましたが、“フリーター”の精神で、自分の視点を増やし、視野を広げ、可能性を広げて、自分の願望や欲求に素直に従って、問題意識や目的意識を持って生きてこられたそうです。そして、地元を飛び出し、熊本を飛び出し、日本を飛び出して、自分の言葉で考え、判断し、行動し、評価し、充足感を味わえるような豊かな人生を過ごしてこられたそうです。

 私達、企業立地課職員にとって、こういった機会に平野さんのように世界で活躍される方々にお会いできることは、うれしく貴重な機会です。平野さんも、この講演会の度に熊本への里帰りができて楽しみだと言ってくださり、本当にありがたく思います。平野さんの次の里帰りの機会に、熊本の児童・生徒たちとともにお話しを伺える時を楽しみに待ちたいと思います。

(企業立地課 小柳久美子)