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スタンフォード便り

産学間連携のあり方

2008/01/18 08:00

シリコンバレーは「人種と人財のるつぼ」・・・・。

ここには、自らの可能性を極める為に、世界各国から有能な人材が集まってきます。そうしたパイオニア精神旺盛な人々にとって、心の拠り所となっているのが、多種多様な人的ネットワーク組織です。主なネットワーク組織として以下のようなものがあります。

●Tie(インド人起業家支援組織)
http://www.tie.org/ 1992年設立

●AAMA(アジア・アメリカ・マルチテクノロジー協会)
http://www.aamasv.com/ 1979年設立

●SVJEN(シリコンバレー日本人起業家支援ネットワーク)
http://www.svjen.org/ 2002年設立

●Keizai Society (ケイザイ・ソサエティ)
http://www.keizai.org/1990年設立、日米間のビジネス交流促進組織

●JBC(ジャパン・バイオ・コミュニティ)
http://www.j-bio.org/ 2002年設立、バイオビジネス関連の情報交換組織

●JUNBA(サンフランシスコ・ベイエリア大学間連携ネットワーク)
http://www.jspsusa-sf.org/junba/ 2005年設立


いずれの組織もメンバーとして加入することは容易で、各組織主催のイベントに精力的に参加することで、数多くの貴重な出会いの機会を得ることができます。因みに、私はインド人の起業家支援組織Tieにも、AAMAにも、Keizai Societyにもメンバーとして、彼らのイベントに頻繁に顔を出していますが、これら組織の垣根は低く、「来るものは拒まず」の方針が徹底されており、メンバーとしてのメリットを自由に享受しています。

ご紹介したネットワーク組織の中から、先日は、JUNBAのイベントに参加してきました。JUNBAは、シリコンバレーにオフィスを設置している7つの日本の大学(東北大学、東京理化大学、法政大学、横浜市立大学、大阪大学、九州大学、鹿児島大学)が、現地における大学間連携を強化するためにつくった任意組織です。

設立から4年目を迎えた今年、年明け早々、1月9日(水)~11日(金)の3日間にわたり、「JUNBA国際産学官連携サミット」が開催されました。

このイベントの主旨は、国際的に産学官連携を図るためには何が必要か、その課題と展望を語り合おうというもので、第1部の「JUNBAサミット」では、今後国際的に連携強化を図るためにどうしたらいいか、各大学の代表が現在の活動内容と今後の課題について議論し、第2部の「国際産学官連携シンポジウム」では、スタンフォード大学やカリフォルニア大学の教授、日本とのライセンシービジネスに積極的なアメリカ企業等から講師を迎え、それぞれの立場から産学官連携についての提案がなされ、最後の第3部の「国際産学官連携テクノロジーフェア」では、産学官連携を念頭において、各大学が紹介したい技術の発表が行われました。

私が最も興味深かったのは、第2部でこのJUNBAの顧問でもあるスタンフォード大学の
西義雄教授(参考:http://www.jtpa.org/about/members/000060.html)からの日本の大学へ向けたメッセージでした。

西教授は、早稲田大学理工学部卒業後、1962年東芝入社、研究開発部門に従事され「1 Mb CMOS DRAM」を同社の戦略製品として世界へ送り出し、1985年HP(ヒューレッド・パッカード)に請われて渡米、HPの半導体研究所長を努め、1996年にはTI(テキサス・インストルメンツ)の上席副社長を経て、2002年5月からスタンフォード大学に招聘され、現在は、同大学のナノファブリケーション研究所長及びTIのチーフ・サイエンティストを兼務されています。

西教授は、ご自身のナノファブリケーション所長を務めておられるご経験から、1つの研究テーマに対して、大学内のテーマ関連の学部・ラボの研究者達がいかに幅広く何の障害もなくプロジェクトチームを組み、共同研究に積極的に取り組み、成果をあげているかを発表されました。

これに対して会場から、「なぜ日本の大学ではラボや学部学科の連携が取りにくいのでしょうか?」という質問がありました。

西教授曰く、「恐らくその一因としては、日本人特有の恥の文化があると思います。自分の研究に対して批判的な意見は聞きたくないという防衛本能が働くのかもしれません。だから、表だって他者の批判はしないとね。しかし、私がシリコンバレーにやってきた1985年頃、スタンフォード大学もラボ間での協力、横の連携はうまく取れていませんでした。各研究者が自ら垣根を取り払い、自らの学説に対して学内の他者から意見されることを潔しとした時、将来、日本の大学もスタンフォード大学のようになれるのではないでしょうか?」

一口に産学官連携と言っても、簡単に真の連携を図るのは難しいのかもしれません。しかし、当事者が何かしようと動き出した時、実現への確かな1歩が芽生えるのだと思います。