スタンフォード便り
Yahoo!の不振
昨日(2008年1月29日)インターネット・ポータルサイト米Yahoo!が、1999年のITバブル以来、最大規模のレイオフを発表しました。同社は、「第4四半期の売上高は、前年同期比8%増の18億3000万ドル(約2,196億円)だったものの、利益が前年同月比23%減少したこと」を発表したのに続き、「2月半ばに社員1万4300人のうち7%にあたる約1000人をレイオフする」といいます。
売上不振の理由としては、広範な景気問題の影響で、一部分野(金融、旅行、小売)の広告主のオンライン広告支出が減少したことに加え、ライバルGoogleとの激しい競合関係が背景にあるものと見られています。
Yahoo!は、皆さんもご存知のとおり、スタンフォード大学の学生であるジェリー・ヤン(Yahoo!創業者・CEO、スタンフォード大学電子工学博士課程休学中)とデビッド・ファイロ(Yahoo!創業者・チーフ、スタンフォード大学電子工学博士課程休学中)が1995年4月に、シリコンバレー発のアントレプルナールとして創業したドットコム企業で、インターネット業界の寵児として持て囃されていましたが、最近では、革新的なサーチ技術を提供するGoogleとの競合関係に苦しんでいます。
Googleも、スタンフォード大学のコンピューター・サイエンスの学生であったラリー・ページ(Google創業者・プロダクト責任者、スタンフォード大学にて修士号取得)とセルゲイ・ブリン(Google創業者・テクノロジー責任者、スタンフォード大学コンピューター・サイエンス博士課程休学中)が1998年9月に、Yahoo同様、シリコンバレー発アントレプルナールとして創業したIT企業で、2001年にはサン・マイクロシステムズのCEOであったエリック・シュミット博士をGoogleのCEOとして迎えています。
Yahoo! の経営戦略の特長は、メールからファイナンスまではば広くカバーする「ワンストップ」ポータルサイトサービスにありますが、Googleは、Yahooの「ワンストップ・サービス」をすっかりコピーした上で、さらに高度な技術を駆使し、インターネットのサーチ(検索)広告に重点をおいてビジネス展開をし、Yahooを凌駕するようになっています。
昨年12月のComscore(http://www.comscore.com/jp/)によるマーケットリサーチによると、全米でインターネット検索が行われたうち、58%の利用者がGoogleのポータルから検索を行っており、Yahooポータルからの検索は23%であったそうです。
今後、Yahoo!は、春に満了する予定のAT&T(全米最大の通信会社、日本で言えばNTTのような企業)との契約を再交渉したことも明らかにしており、インターネットアクセスサービスの共同販売から、広告収入分配と、AT&Tのテレビサービス、Webポータル、モバイルサービスへのコンテンツ提供に軸足を移すことで営業成績の盛り返しを図りたいとしています。
1000人規模のレイオフは、日頃、雇用削減のニュースには慣れているようにも感じられるシリコンバレーでも、かなりのショックだったようで、地元誌の第一面に報じられていました。
シリコンバレーで知り合った地元IT関連業界に勤務する人々から聞くところによると、シリコンバレーのIT業界人の大半は、ITバブル以来、レイオフには動じなくなったそうです。
いきなり会社人事部から、レイオフ対象者に対してメールが届き、その日のうちに個人の持ち物は全て整理し、会社を解雇されるということが日常茶飯事とのこと。解雇された翌日には、IDカードも使えなくなってしまい、会社に自由に出入りができなくなるので、日頃から、会社のパソコンには個人情報は一切残さないようにしておき、個人情報が会社に利用されないように心がけておくのだそうです。さすがに、最初にレイオフされた時には、かなりショックを受けたそうですが、何度か経験するうちに、ヘッドハンティング業者とも日頃からコミュニケーションを取っておく等、自己防衛にも敏感になり、かえって、自己能力の分析を冷静にできるようになったとも聞きます。
シリコンバレーの厳しい雇用環境を改めて感じたニュースでした。