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スタンフォード便り
聴講生としての楽しみ
2008/02/01 15:04
スタンフォード大学アジア・パシフィックリサーチセンターの客員研究員となって(9月~)6ヶ月。ここでの一番の楽しみは、何と言っても憧れのスタンフォード大学の授業を多少なりとも聴講できることです。
クォーター制(4学期制)を取っている同大学では、9月~12月迄の秋季学期、冬季休暇が終わり、現在は、冬季学期に入っています。
日本では、小中高校は3学期制、大学は2学期制を取っているところが一般的だと思いますが、アメリカでは、約2割の大学でクォーター制(4学期制)を取っているようです。冬季学期は、1/8~3/21迄の約11週で、3月の最後の週は試験がありますので、授業は実質10週間となり、1科目につき、週に2コマ(1コマは75分~120分、科目により異なる)授業がある場合が多いようです。授業は中身が濃く、事前に求められるリーディングの量も大量で(1授業につき事前に指定された専門書を200ページ読み、議論に参加できる準備をしておくというのが普通)、しかも各授業毎にレポートの提出を求められるので、授業に参加するのは本当に大変です。
客員研究員は、各科目の責任者である教授に直接Eメールを送り、いかにその授業を受けたいかをアピールすることで、学生の集まり具合によって席に余裕があれば、聴講の許可をもらうことができます。
私は、秋季コースでは、幸運にも、国際ビジネス(MBA)コースの2科目にもぐりこむことができ、大いにエンジョイしました。冬季コースでは、日本のビジネスカルチャーを議論するコースやフリートレードをいかに推進していくか大国アメリカの立場から論じるコースを選択しています。
授業中に活発に展開されるディスカッション等を通じて、将来、アメリカ経済の中枢に入っていくであろう学生達の本音を聞くことができ、外資誘致を推進する立場にある私としては本当に勉強になります。
また、秋季で聴講したビジネススクールでは、多国籍企業で活躍しているCEOをゲストとして招いたり、或いはブラジル等のBRICSで現地法人の社長とネット会談を行ったりしていました。学生は、CEOへ率直な質問をぶつけ、CEO達はいずれもスタンフォード大学の卒業生で、後輩からの質問に、本音で丁寧に回答していました。
聴講生としては、ディスカッションには参加できませんが、こうした本音の議論を聞くことができ、終了後にはゲストと名刺交換することは自由ですので、企業との出会いの場としても大いに活用させてもらいました。
授業に参加していて感じるのは、ブラジル、中国、インドといったBRICS諸国が事例として取り上げられることが多い中で、日本の存在感が非常に薄いことです。
唯一「日本」がテーマとして取り上げられていたのは、高級基礎化粧品として、日本でも人気があるSK-Ⅱの日本マーケットでの成功についてでした。
学生からは、特殊な日本マーケットで、事業効率が上がらないのに、なぜ日本進出にこだわったのか、という厳しい質問がありましたが、これに対してP&Gの責任者は、
「日本マーケットは難しい。日本の消費者は商品に対して世界一厳しい目を持っている。しかし、日本の化粧品マーケットを制すれば、中国、韓国、台湾、東南アジア諸国では、こちらが努力せずとも、日本で認められた化粧品は飛ぶように売れる。」
多国籍企業が、地域毎にトレンドの流れる方向や各国マーケットの力関係、将来性等を、いかに細かく分析しているのかが垣間見えるコメントでした。
国際マーケットの最前線からのコメント、或いはディスカッションを通じて、同大学の学生は実践的に国際ビジネスを学んでいます。こうした若者達が将来、国際ビジネスの世界で活躍するようになるのです。
今後、ビジネスのみならずいろんな面で、日本も益々ボーダレス化が進み、外国から人や、ルールや、ビジネスモデルや、様々な物が導入されるようになり、特殊だといわれている日本のマーケットも変化していくと思います。これまで日本国内では常識だと思われていたことが、外国の考え方も入ってくることによって、変わることもあるかもしれません。
シリコンバレーには多くの日本人がいますが、長年こちらに住んでいる人の大半は日本へは帰りたくないという声が多いようです。その理由は、日本の政治の方向性が見えないこと、年金問題、日本の閉鎖性等など、ネガティブなニュースばかりで、日本へ帰国することのメリットが見えないそうです。
グローバルな人材のための実践的な教育、海外との交流の促進、いずれも大切なことですが、これからは、日本も「特殊性」という皮を脱ぎ捨てて、海外に長年住んでいる人たちも、喜んで、「日本にまた住みたい、帰りたい」と思えるような開けた国になることが大切ではないかと思います。