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スタンフォード便り

最大の危機をチャンスに

2009/03/04 09:32

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株価が$7,000を切り1997年10月時点にまで落ち込んでしまったその頃、私は、サンタクララ市で日本から訪問された中小企業の方々と朝食ミーティングをしていました。
ミーティング会場のスクリーンが、CNNニュースの株価情報を流した時、ミーティング中のお一人がため息をつきながら、こう
おっしゃったのが印象的でした。
「まさに歴史的瞬間にシリコンバレーにいるんだなぁ・・」と。

この不況はいつまで続くのか、オバマ政権が次々と打ち出している景気刺激策がどの位の期間で効果をあげるのか、果たして効果があるのか・・・・こちらでも連日議論されています。
カリフォルニア州の失業率はついに10%を超え、シリコンバレーの企業集積地域にも企業撤退後の空きスペースが目立つようになってきました。一頃よりも、インターネット利用が無料のダウンタウンのカフェで、オフィスに行かず、仕事をしているビジネスマンの姿も多くみられるようになりました。

こんな中、「最大の危機をチャンスに」変えようと海外へ商談に来られた中小企業グループがおられます。
それが、冒頭にご紹介した朝食ミーティングでご一緒した方々です。
行政の立場でこうした方々のお役にたつことと言えば、現地でのネットワークをご紹介することだと思っています。
訪問された方々は、自らのビジネスモデルを明確に持っておられ、そのモデルがアメリカで通用するか、その分析、それに今後そのビジネスモデルを実現していくためのビジネスパートナーを検討することが今回の訪問目的でありました。

シリコンバレーには、数多のネットワークがあります。ネットワークが溢れていると言った方がいいかもしれません。そうした
ネットワークを利用して、パートナー探しをすることは非常に有効だと思います。

その際、気をつけるべき点は、ネットワークの大半を占める業界の専門家と称する人達の見極めです。
日本からインターネット等で容易に検索ができ、現地で即相談に乗ってくれる彼らは名刺を何枚も持っていて、様々な企業とセールス・レップ(販売代理人)としての委託を受けています。この不況下、仕事がなくて新しいネタ探しをしているそうした代理人達が溢れているのです。

私のところにも、連日のように、様々な人種の自称「日本企業とアメリカ企業とのマッチングのスペシャリスト」がやってきま
す。彼ら曰く、「日本国内には海外取引を始めたい企業、或いは、力があるのにグローバル展開せず、大手企業からのOEMのみを行っている企業が沢山あるでしょう。そうした企業のお手伝いをやってあげましょう」と。

私がお会いした売り込みの専門家達をパターン化してみると、以下のように分けられると思います。
・日本人以外の場合は、元大手半導体企業等で何度も日本へ出張したことがあり、日本の大手企業との取引経験もあり、さらに日本の文化(特に食文化、東京の街)を気に入っていること
・日本人の場合は、元日系半導体商社駐在員、或いは日系メーカー出身の方で、駐在終了後、シリコンバレーに留まった人

彼らは過去の経験とネットワークを使って、日本の中小企業のビジネスの役に立つのは自分だと主張されます。

このような代理人が大勢存在する背景には、例えば、アメリカで販路開拓をする際、大半の企業がセールス・レップ(販売代理人)という業界の専門家に商品の販路拡大を委託するように、「餅は餅屋に」式の分業制が一般的だという事情もあるのだと思います。

以前、ある日系企業社長が言われていましたが、「セールス・レップに委託する際には、長年の信頼関係に頼っていてはビジネスのスピードについていけない。代理人は1年毎の見直しが必要だ」と。その方は、5年以上同じ代理人に全幅の信頼を置き、固定給で契約をしていたところ、契約期間中、殆ど市場開拓ができなかったという苦い経験をお持ちでした。代理人は、メーカーや商社勤務の現場を離れてからの期間が長引くほど、ネットワークの質が下がってくるのだと言います。
また、守秘義務契約を結んでいたとしても、やはりいくつもの取引先を抱えている代理人の場合、あるビジネスで見つけた有効な売り先は、自らの利益を確保するために、他の取引先でも利用することは多々あることのようです。

現地に足を運び、今後の戦略について真剣に議論した末に、巡り会う真のパートナー。
やはり、お互いの真剣度がパートナー探しの鍵ではないかと思います。