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スタンフォード便り

シリコンバレーが教えてくれたこと

2009/03/27 03:22

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ついに、私の1年半のスタンフォード大学を拠点としたシリコンバレー生活も、2009年3月をもって別れを告げることになりました。
シリコンバレーを出発する朝、当地のニュースは、オバマ政権の景気刺激資金がシリコンバレーには、うち11億ドル(約1,100億円)が配分されることになり、その使い途は、人々の足であるカルトレインやライトトレインといった公共交通機関の利便性向上へ投資されるといったニュースや、スポーツカータイプの電気自動車を販売して飛躍的な成長を遂げているシリコンバレー発メーカー、テスラーモーターズ社が、セダンタイプの新型電気自動車を販売する、今後はセダンタイプの量産がスタートするかといったニュースが報じられ、コメンテーターは、オバマ政権の強力なリーダーシップにより、これからのアメリカは、従来の化石燃料に依存した生活から、新エネルギーを活用した環境重視型へと確実に変革していくことになると報じていました。

時代の大きな変革点にあって、シリコンバレーにいて、このアメリカの苦しみや変化を目の当たりにできたことをとても感謝しています。

しかし一方で、日本を愛する日本人としては、シリコンバレーでの活動は日々耳の痛いことばかりでした。
「パラダイス鎖国」という本の著者は、著書の中で日本の海外とのつきあい方について、「日本人はもっと海外で個性を発揮するべきだ」と愛情を込めて苦言を呈し、また、「ジャパン・パッシング(素通り)」という言葉がシリコンバレーに暮らすアメリカ人からも、中国人からも、インド人からも、また日本人自身からさえも聞かれ、アジアの先進国としての日本の存在感がどんどん薄まっていくことを実感させられました。

不況のまっただ中ということもあり、シリコンバレーの日本人駐在員の帰国ラッシュが続いているそうです。
帰国した駐在員達は、シリコンバレーでの生活をよき思い出として、現実である本社の忙しさに埋没してしまうのかもしれません。

シリコンバレー滞在中に、数多くの人々との出会いがありました。
アメリカのみならず、イタリア、ドイツ、中国、台湾、インド等、各国からシリコンバレーに進出している企業の人達、業者も半導体関係ばかりでなく、ソフト会社、人材派遣会社、食品、ヘルスケア、介護関係等、実に様々な人々と語り合い、本音の話も山ほど聞くことができたと思います。
私はそうした出会いの中から、一つでもいいから地元へ持ち帰り、今後さらに熊本がより暮らしいい地域になるようにお手伝

いをしていきたいと思います。

その中の一つとして、シリコンバレーに根を下ろして生活をされているアメリカの永住権を取得した日本人がいます。
その人達の多くは、「がんばれ日本」の熱き支援者達です。

日本から一歩踏み出して、アメリカや世界で頑張ってみたいと飛び出して来られた中小企業や個人に対して、彼らは、自身のこれまで培ってきた人的ネットワークをフル活用して、力強いバックアップをしたいと思っておられます。
これは、きっとシリコンバレーだけではなく、海外で苦労して成功を収めている先輩日本人達は、今の我々が日本国内に満足し、世界に目を向けることが少ない現実にヤキモキされているのです。
是非、こうしたいいコネクションをつないでいきたいと思います。

さて、私のスタンフォード大学での最終日。
これまでお世話になった多くの方々に挨拶し、みんなと「これからも”Keep in touch”ね(連絡を取り合おうね)」と約束しな

がら、幅広いネットワークを維持していくことには、自分なりのかなりの努力が必要であり、その努力を欠かさないようにしよ

うと心に誓いました。

そして、最後に、研究所の所長から次のようなはなむけの言葉をもらいました。

「人は、忙しい日常に忙殺され、段々と鈍感になっていく。
そうならないためには、プライベートと仕事とのバランスを上手にとっていくことがとても大切だ。
猛烈に忙しく仕事をこなした後で、自分をリフレッシュするための時間を努めて確保すること・・・私は常にそのことを念頭におき、心のセンサーが曇らないように努めている。
そのために、自分の限界をよく知っておくことも大切だし、そうすることで、次にやってくる課題に対して、最高の成果をあげ

ることができるのだと思う。」と。

私も、この所長からの言葉を胸に、使命感を持って、楽しく、日々努めていきたいと思います。